白亜紀前期に繁栄した恐竜の中にイグアノドンという大型の鳥脚類に属する恐竜がいました。このイグアノドン類の化石は、現在ではヨーロッパのみならず、北アフリカ、北アメリカ、アジア、そして日本からも発見されています。
イグアノドン類のこのような分布は、かつてゴンドワナ大陸という一個の超大陸があったことを、私達に語りかけてくれます。イグアノドンという学名は「イグアナの歯」という意味です。実際、あごの骨からぬけ落ちた歯は、南アメリカのジャングル地帯に生息する植物食のトカゲ、イグアナのものによく似ています。
イグアナドンは全長8~10メートル、体重4トンほどの二足歩行の植物食恐竜です。イグアナドンの最大の特徴は、するどい前足の親指です。それは長い間、頭の角と考えられていた程大きく、円錐形をなしていました。この親指の骨は、イグアノドンが生きていたときには、角質の爪で覆われていたに違いありません。おそらく、肉食恐竜の目を潰したりしてた、強力な防御用の武器であったのだろうといわれています。
世界ではじめて、イグアノドンの完全な骨格が発見されたのは、1878年のことです。ベルギーのベルニサールの炭鉱であらたな坑道を堀進んでいる時、地下332メートルのところで、炭鉱夫が大きな動物の化石骨にぶつかりました。
この発見の後、ただちに第二の坑道が掘られ、深さ365メートルのところで、またイグアノドンの骨にぶつかりました。骨の分布、地質構造をこまかく調べた結果、これらの骨は、石炭層を垂直に貫通しているせまい粘度層の中に埋まっていることがわかりました。
発掘されたイグアノドンの骨格は、バラバラでなく、いずれも関節でしっかりと繋がっていたことから考えると、メガロサウルスのような凶暴な肉食恐竜に追いかけられたイグアナドンの大群が、崖からまっさかさまに転落し、どろ深いよどみいはまり、窒息死したことを示しています。そこから現在までに31頭のイグアナドンが発掘され
そのうち、11頭が組み立てられ、ベルギーの首都ブリュッセルの王立自然史博物館に展示されています。
今でも、ベルニサールの炭鉱の地下には、多数のイグアノドンが眠っているそうです。