ヒプシロフォドン

ヒプシロフォドンという鳥盤類(目)に属する全長2メートル、体重100キログラムほどの小型の恐竜がいました。ヒプシロフォドンはジュラ期中期に出現し、白亜紀初期におおいに栄えました。日本でも、その仲間の化石が発見されています。
ヒプシロフォドンという学名は、その歯の形に基づいています。それは「高いうねのある歯」という意味です。ヒプシロフォドンは丈夫な歯とあごで、かたい植物の葉や茎をかみつぶし、口の中の両側にある隙間に、しばらくの間ためこむことができたそうです。
驚いたことに、このヒプシロフォドンは比較的最近にいたるまで、樹上生活を送る恐竜とみなされていました。
しかしそれは誤解でした。(19世紀末にジェイムズ・ハルクという古生物学者が、前足や後ろ足に特別長い指を持っていることに注目し、ヒプシロフォドンは樹上生活者に違いないとして発表したことによって)
ところが最近になって、ピーター・ゴールトンという古生物学者が、イギリスのワイト島から産出した化石骨を詳しく検討し、「これが木のぼり恐竜だなんてとんでもない」「ヒプシロフォドンは地上を走っていた快速の恐竜だ」と訂正して、学界で正式に発表しました。ピーター・ゴールトン博士の努力で、ようやくヒプシロフォドンは、約80年ぶりに木から大地におりることができたのです。実際、後ろ足の筋肉がどのようについていたのか、その様子を復元してみると、快速のダチョウ恐竜に似た配列をしていること、まっすぐな爪、石灰化した腱に支えられた屈曲生のないしっぽなど、どれ一つとっても樹上生活者としてのはっきりとした特徴ではなかったのです。

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